本治療*について
*アキャルックス®点滴静注とレーザ光照射による治療
アキャルックス®点滴静注とレーザ光照射による治療
INDEX
1 本治療のしくみ
アキャルックス®点滴静注とレーザ光照射による治療(以下、本治療)は、がん細胞の表面に多くあらわれるタンパク質に結合する薬剤(アキャルックス®)を投与し、医療機器を用いてレーザ光※を当てることでアキャルックス®がこれに反応し、がん細胞を死滅させる治療法です。
EGFRにアキャルックス®が結合
頭頸部のがん細胞の表面には、細胞の増殖を促す物質を認識して、増殖のシグナルを送るタンパク質(epidermal growth factor receptor: EGFR)が多くあらわれています。
アキャルックス®は、このEGFRに結合します。
レーザ光により色素が反応
アキャルックス®が結合したがん細胞にレーザ光を当てることにより、アキャルックス®に含まれる色素が反応します。
がん細胞が死滅
がん細胞の細胞膜が破壊され、がん細胞が死滅することで抗がん作用を引き起こします。
※レーザ光について
アキャルックス®点滴静注と一緒に使用されるレーザ光は波長が690nm(ナノメートル)で、人間の眼で見ることができる光の範囲(可視光線:380~780nm)内にあります。レントゲンで使われるX線や放射線治療で使われるγ線とは異なります(図参照)。また、熱エネルギーを用いて腫瘍を焼き切るレーザー療法で使用されるものとも異なるものです。
2 本治療を受ける前に
本治療の対象となる方
- 頭頸部アルミノックス治療の対象となるのは、外科手術が適さない方です。
※化学放射線治療等の標準的治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。
効能または効果:切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌
本治療の対象とならない方
- アキャルックス®に含まれる成分に対してアレルギー反応があらわれたことがある方は治療の対象になりません。
- がんが頸動脈(首の左右にある太い血管)まで広がっている方は治療の対象になりません。
本治療の際に注意が必要な方
- 妊娠する可能性がある女性は、治療中と治療後の一定期間、避妊が必要になります。
- 現在授乳中の女性は授乳をしないことがのぞましいです。
3 本治療の流れ
本治療は、①アキャルックス®を点滴で投与して、がん細胞の表面に多くあらわれるタンパク質に結合させ、②レーザ光を当ててアキャルックス®を反応させることでがん細胞を死滅させる、という二段階で各1日ずつ2日間行われます。第一段階(1日目) アキャルックス®投与
- アキャルックス®を2時間以上かけて点滴で投与します。
第二段階(2日目) レーザ光照射
- アキャルックス®を投与した20~28時間後にレーザ光を照射します。
- 場合によっては気管切開(肺に空気を送ったり、痰を吸引しやすくするために気管に孔を開けること)が必要になることがあります。
4 レーザ光照射について
使用するレーザ光は医療機器から供給され、ディフューザーと呼ばれる光ファイバーから放出されます。
レーザ光は2種類の方法で当てられます。一つはがんの表面の部分に、ディフューザーで体の外から当てる方法です。もう一つは皮下組織(体の中)にあるがんに針を刺し、そこにディフューザーを挿入して体の中から当てる方法です。
がんの部位や大きさによって、どちらか片方の方法で治療する場合と、両方の方法で行う場合があります。