病期診断
INDEX
1 病期診断/TNM分類 1)
がんの進行度のことを病期といい、病期はTNM分類に当てはめて判定されます。
TNM分類
T | → Tumor 腫瘍 |
がんの広がり原発部位のサイズを示す。最大径のサイズ、またはどのくらい深くまで達しているかで分類 |
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N | → Node リンパ節 |
所属リンパ節転移の有無転移がある場合、転移数、サイズ、範囲によって分類 |
M | → Metastasis 転移 |
遠隔転移の有無原発部位から離れた部位に転移があるかないかによって分類 |
2T分類とは 2)
T分類はがんの広がりをあらわします。頭頸部(とうけいぶ)がんでは、がんの部位によってT分類の仕方が異なり、口腔がん(舌がん)、上・中・下咽頭がん、喉頭がん、上顎洞がん、唾液腺がん等でそれぞれ決められています。
例として、舌がんのT分類を示します。
舌(ぜつ)がんのT分類
T1 | 最大径が2cm以下で、深さが5mm以下のがん | |
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T2 | 最大径が2cm以下で、深さが5mmを超えるがん または最大径が2cmを超えるが4cm以下で、深さが10mm以下のがん | |
T3 | 最大径が2cmを超えるが4cm以下で、深さが10mmを超えるがん または最大径が4cmを超え、深さが10mm以下のがん | |
T4 | a | 最大径が4cmを超え、深さが10mmを超えるがん。または下顎(かがく)もしくは上顎(じょうがく)の骨を貫通するか上顎洞に広がっているがん、または顔面の皮膚に広がっているがん |
b | 噛むことに関連した筋肉と下顎(あご)の骨とそれらに関連する神経や血管がある領域(咀嚼筋間隙(そしゃくきんかんげき))/顎を動かす筋肉と頭蓋底(ずがいてい)がつながっている部分(翼状突起(よくじょうとっき))/頭蓋底にまで広がっているがん。または内頸動脈(ないけいどうみゃく)の周りを囲んでいるがん |
3N分類とは 1)
N分類はリンパ節への転移があるかないかをあらわします。
舌がんのN分類
N0 | 領域リンパ節への転移がない | |
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N1 | がんと同じ側に単発性のリンパ節転移があり、最大径が3cm以下で、リンパ節の外にがんの広がりがない | |
N2 | a | がんと同じ側に単発性のリンパ節転移があり、最大径が3cmを超えるが6cm以下で、リンパ節の外にがんの広がりがない |
b | がんと同じ側に多発性のリンパ節転移があり、最大径が6cm以下で、リンパ節の外にがんの広がりがない | |
c | 両側またはがんのある側と反対側にリンパ節転移があり、最大径が6cm以下で、リンパ節の外にがんの広がりがない | |
N3 | a | 最大径が6cmを超えるリンパ節転移があり、リンパ節の外にがんの広がりがない |
b | 単発性または多発性のリンパ節転移があり、リンパ節の外にがんの広がりがある |
4M分類とは 2)
M分類は遠くの臓器に転移があるかないかをあらわします。
M0 | 遠くの臓器への転移がない |
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M1 | 遠くの臓器への転移がある |
5口腔(こうくう)がん(舌がん)の病期 2)
がんの進行度をあらわす病期(ステージ)は、T分類、N分類、M分類の組み合わせで決められています。
- 病期は一般的にⅠ~Ⅳ期の4つに分けられる。
- ローマ数字が大きくなるほど、がんの進行が進んでいることをあらわす。
舌がんの病期分類
N0 | N1 | N2 | N3 | |
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T1 | Ⅰ期 | Ⅲ期 | IVA期 | IVB期 |
T2 | Ⅱ期 | Ⅲ期 | IVA期 | IVB期 |
T3 | Ⅲ期 | Ⅲ期 | IVA期 | IVB期 |
T4a | ⅣA期 | ⅣA期 | ⅣA期 | IVB期 |
T4b | IVB期 | IVB期 | IVB期 | IVB期 |
M1 | IVC期 | IVC期 | IVC期 | IVC期 |
- ※頭頸部がんでは、がんの部位によって病期分類の仕方が異なります。
- ※例として、舌がんの病期分類を示します。
1)国立がん研究センターWebサイト がん情報サービス「用語集 TNM分類」
2)日本頭頸部癌学会 「頭頸部癌診療ガイドライン2022年版 治療」